〆
涼宮ハルヒの憂鬱 第14話(最終話)「涼宮ハルヒの憂鬱Y」

平穏な日常がもたらすもの。
冒頭からキョン妹の目覚ましイベント。固定カメラのアングルが絶妙で、ちょこまか動く様子がなんとも愛らしい。
長門抱きかかえイベント目撃の後付け説明では、キョンと国木田の悪友ぶりがいね。無理矢理な言い訳と判っていても、通さないわけにはいかないキョンと、嘘と知りつつ、それ以上突っ込んでこない国木田。非現実と現実の
線引きをしてくれる役割も同時にこなし、アニメ化によって印象度が格段に変わったキャラでした。
そしてハルヒの不機嫌から、みくる先輩の「あててんのよ」まで。SOS団の日常に慣れ、楽しむ日々が続き、キョンとの距離を近づけてしまうみくる先輩。このじゃれ合いの動きもまた、絶品であったなぁ…。フォルダを見せるわけにいかないものの、スキンシップを楽しむキョンも嬉しげだ。長門は…羨ましく思っていたのかな?
そして、一人その様子が気にくわない団長様の登場。今までは男子の目など気にもせずに着替えていたけど、
キョンを男として意識するハルヒ。うーむ、だんだん可愛くみえてきた。

涼宮ハルヒの憂鬱。
ハルヒ流のやつあたりなのかな。普段はS的にいぢめることを楽しむのに、逆にみくる先輩へ優しく接するハルヒ。手持ち無沙汰、という言葉がピタリとハマる一幕。
そして、妹よ再び。やはりこの配役については、何度聞いても露骨なんだけど、それがいいと思えてしまうw
眠りについたはずのキョンがいた場所は、閉鎖空間withハルヒ。古泉の解説により、ハルヒの不在(現実などなくてもいいのでは?という思考)により、現実世界消滅の危機に至る。
今まで何度となくキョンのピンチをを掬ってきた長門も(憂鬱以後のエピソード入れ替えによる、長門の万能ぶりがここにきてさらに引き立っている)、メッセージを送ることだけで手一杯。ドサクサに紛れて、長門個人の意志が明確に表れる場面。モニター越しに心情を吐露するというのも、長門らしい。

ハルヒの求めたもの。
ハルヒが求めた普通じゃない世界がそこにあった。超常現象を前にドキドキワクワクが止まらない。単に超常現象を望むでなく、キョンと共に、という付帯条件がつくことで、初めてハルヒがヒロインに見えた(今までは場面に応じて長門やみくる先輩がヒロインだった)。
キョンの袖を掴んだり、肩越しに神人を見ていたり、手を引かれて走ったり。普段は前面に出るハルヒが、一歩、
引いたポジションにいるところでも、女の子らしさが表れてて、つまりこれって…デートなんだろうね。
でも、キョンの意識はハルヒのそれと異なり、ズレを感じて手を離してしまうハルヒ。今まで自分が求めていたものが目の前にあるのに、なぜその世界を捨てなければならないのか、という答えを導き出せない。

「俺、実はポニーテール萌えなんだ。」
デートといったら最後は告白なのですよ。作家としての個性が最も強く表れる場面・セリフでもあるね。超常現象におけるデートという、全くそぐわない状況に響く荘厳な音楽が、また絶妙なミスマッチだなぁ。最終回、という位置取りもさることながら、気持ちの高め方、最高潮の(キスした瞬間の)盛り上がりは尋常じゃないや。そして一転、キョンがベッドから落ちた瞬間の静寂。カチコチと秒針が響く音の中(細かい時間の経過もよく表しているなぁ)、キョンの表情・感情の変化も最高だ。普段、達観していることが多いだけに、こう乱れるキョンは新鮮この上なく。
白雪姫・sleeping
beautyのキーワードもここに帰着。しかし、長門や朝比奈さん(大)が、事前に回避方法を知っていたということは、どこかで観測していたか、或いは未来においてキョンかハルヒから、その事実を聴いたってこと?
ハルヒの返事については、閉鎖空間が消滅したという事実と、翌日の、

ポニテによって返されるのでありました。
ショートヘアをなんとか後ろにまとめてくるのですよ。いじらしくも可愛らしい。閉鎖空間での出来事は、夢か現か幻か、定かではないけど、二人の間ではどこか真実じみた、共通の認識があるんだろうね。そして、「似合ってるぞ」とキョンが一言添えるラストシーン…くはぁ。素晴らしいな。主題歌の挿入も、冒頭になかったので判っていたけど、胸に込み上げてくるものが止まらないのです。
エピローグで、事の次第とその後のSOS団が語られますが、長門の強い意思表示燃えた。みくる先輩は最後まで最高のマスコットになってくれるし、ここぞとばかりに痣の話を振るキョンも、心憎い。イチャついている二人を見ても、上機嫌なハルヒという、序盤とは真逆のシーンも、一話あたりの構成として絶妙だ。
ラストシーンは、キョンのモノローグ、そしてキョンとハルヒがツーショットになる手前、で終わらせるところが、この作品らしさなんだなと思えたり。
総評。
キョンの一人称視点による独特の文体や、キャストの発表を見て、アニメ化は非常に難しいとの思いが頭を離れることはありませんでしたが、蓋を開けてみれば、なんと魅力的な作品だったことか。原作の持ち味を活かすどころか、その魅力を何倍にも高めるようなメディアミックスに、スタンディングオベーションですね。
なにより「見せ方」に対するこだわり・徹底ぶりを感じた作品でした。コンテや演出の醍醐味、アニメーションという媒体には、こんなにも素晴らしい表現力があるんだということを、見せてくれました。そして、TVシリーズにおいて、高い作画クオリティを維持し続けるという、最も基本的で重要、かつ難しい仕事を成しえた京都アニメーション。本当に、素晴らしいと言う他ありません。
改めて、スタッフに百万の感謝を。そして願わくば、続編においてさらなる感動が見られんことを…。
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