〆
.hack//Roots 第25話「Truth」
−脚本:川崎美羽 絵コンテ:久保山英一 作画監督:重松しんいち 演出:久保山英一 −

真実。
本作における重大な謎、志乃のPK。ゲーム版でも全く明らかにされていなかった肝心の場面ですが、ここで一番近いところまで迫ってきました。オーヴァンとトライエッジの間にある線が、一段と太くなったよう。
レイヴンから解放されたオーヴァンの転送先は、グリーマレーヴ大聖堂。そこで志乃と再会するのですが、右腕の封印が解けて(オーヴァンがどうにかなって?)、志乃はPKされる。そして直後、ハセヲが到着したときには、トライエッジが佇んでいた…という流れでいいのかな。
オーヴァンは大聖堂に偶然転送されたようなことを言っていましたが、とすると志乃へのメールは誰が送ったのかという新たな疑問が。フィロの病を知った上で、自分が同じというオーヴァンのセリフも気になります。
そしてぇー!肉球団がいやし隊の母体という真実w
にゃ〜んの語尾は肉球団・タビーの名残だったとは。清作の名前で気付くべきだった。しかし、あそこまで姿形が変わったらわからないよ。確かにこれも一つの真実。してやられたなぁ。だがそれが心地よいw

まとめへ。
二人のキャラクターによる対話が、本話の基本スタイルらしく、いろんなペアで話してる場面がほとんど。ともすると単調に見える構成ですが、そこは川崎脚本の真骨頂。セリフの一つ一つに、キャラの意図や心理変化がしっかりと乗せられているので、自然と会話に引き込まれていきました。
イベントエリアにおけるタビーと三郎の偶然の出会いから別れるまでもいいな。いろんな真実が明らかになる本話の中では、かなり穏やかな場面ですが、気に入った場面です。前後左右・望遠近縁、様々なカメラポジションからもセリフにマッチした明確な演出意図、込められたメッセージが伝わってきます。
苦手意識の表れか、引きつった笑顔で立ち去ろうとするタビーを、悪戯・皮肉を込めた笑顔で逃がさない三郎。
でも会話の後は、裏表のない笑顔を交わしている二人になっているのですよ。いい。
このようにアップのときは、セリフを発する主体の主観が込められていますが、一端カメラを引いて望遠になると、感情移入を避け、その行動・会話だけを純然と見ることに徹底しているようです。本作の特徴的なカメラアクション。
シンプルだけど基本を外さない、感情のベクトルを明確にした演出が徹底されることで、一件単調に見える話にメリハリが効いて、深みが増しているんだろうね。
オーヴァンを捕獲したときの記録を見るクーンも同様で、アップになると本人の感情がしっかりと表れているなぁ。

フィロ、死す。
ええええええ!
ナンテコッタ…。藤太に告げていた頼みってのは、自分の死が確認された後、ハセヲへ伝言を伝えること(26話にて)でしたか…。
敢えて色を落とした映像と、あの浮かずに歩いているという事実が、フィロのプレイヤーが死んだことを色濃くして
いるなぁ。藤太の前に表れたのは奥さんかな?
同じ声で女性ぽい口調は正直引いたw
三郎とのやりとりを経て、自分の道を見出したタビーは清作の告白を断る。ここもまた一対一の対話を貫いている場面。そして、The Worldへの帰還を果たしたハセヲは、死の恐怖だった頃の力を失い、レベル1へ初期化された姿で、ドームの扉を開く…。
〆
.hack//Roots 第26話(最終話)「Determination」
−脚本:川崎美羽・藤井文弥 絵コンテ:澤井幸次 作画監督:亀田義明 演出:澤井幸次 −

AIDA登場。
オーヴァンとタビーのニアミスはちと謎でしたが、後にタビーを志乃と重ねて描くための伏線?
1stフォームに戻ったハセヲは藤太にすぐ見つけられ、フィロの死を告げられる。このシーンは前話でタビーと三郎が話していた場面と、アングルまでよく似ていたましたが、ハセヲとタビーを重ねていたのかな。
二人の支え役だった三郎と藤太の慰労会みたいなシーンもいいね。互いに元TaNであることを告げて一区切り。
中華料理の喩えも相変わらずで、三郎の話は喩えなのに抽象的なんだけど、どこか本質を突いているという、微妙なさじ加減が絶妙でした。よく考えられていたよ。
元TaNの二人が和んでいる様子と並行して、レイヴンへの移行組は正体不明のバグを相手に奮闘という対比。
ちょっと皮肉めいた印象だ。そして、ここでやっとアバターという単語が出た…のに映像には出さないんだw

ぎぎぎ、銀の字――――――!!wwwwwwwwww
うは、神降臨wwww なんだこの超展開。SIGNからのファンには凄まじいサプライズだったけど、完全に意味不明w
だがそれでこそ銀漢。ゲームの方にも出てきてくれないものか…。
そしてタビーはThe Worldから離れることを決意し、志乃から貰った武器を藤太達のギルドへ預けることに(藤太は留学のためゲームを離れるようですが)。情報部も設けたらしいギルドですが…これもゲームに被ってくるのかな?
藤太の後継者らしい、お株を奪う決めゼリフも小粋。

主人公:ハセヲ・ヒロイン:タビー
ハセヲとタビーに、三郎・藤太がフォローをかけていますが、今度は三郎がハセヲの元へ。三郎の座り方が、もの凄く色っぽかった…。傍観者を決め込んでいるけど、当事者への介入には積極的。どこか憎めなくて、可愛い笑顔が持ち味の女の子。けど名前は三郎。いろんな矛盾を抱え込んだ存在だけど、気がつくと本作で一番好きなキャラになっていました。全体的に淡い色遣いで、ビジュアル的にも希薄なのに、存在感は圧倒的だったな。
そしてヒロイン・タビー。三郎と藤太が仲介していたけど、二人が直接会うのはそういえば久しぶりなんだね。
志乃が未帰還者になったことで、ヒロインとしては誰も勝てない階級に位置してしまったけど、ずっと側にいる人物としては、やっぱりタビーがヒロインだったのかな。このシーンはあからさまだったけど(音楽もやりすぎじゃね?ってくらいに盛り上がってた)、最後くらいはシンプルにいくのもいいもんだ。

決意。
同じ場所で同じ用意振り向く、綺麗に志乃と重ね合わせているね。看護師を目指して、志乃の世話をする宣言も、タビーらしい決意。目標を見つけたら強い女の子だ。タビーが進路を決めたところで、ハセヲもまたかつての自分を取り戻す。初期化と共に憑き物が落ちたよう。一途で真っ直ぐなタビーと、天の邪鬼なハセヲ。やはりこのコンビが帰って来るのですよ。リアルで会った、と言っていたタビーの所作にはどこか恋愛感情めいたものが見えて、けどそれは表には出さない。こういう微妙な心理描写も大きな魅力でした。
AIDAの命名シーンで区切りをつけて(洒落じゃないけど八咫はやたらと顔アップが多かった
)、それぞれに思惑を抱きながら、後はゲームへと続く。ゲーム版ではトライエッジ戦の敗北以後、ずっとハセヲとしてプレイしていましたが、ゲームのプレイヤーの知らないところで、こんなエピソードがありましたっていう隠れ要素もおもしろし。
最後は志乃と過ごした瀑布でその幻を想いながら、現実にはスケィスの影がハセヲを覆うように赤黒く光る…。
最終回にスケィスが現れて終わるというラストは、SIGNと同様で前のアニメ作品ともリンクしているかのようだった。いやもう、これはホントに脱帽。
総評。
正伝のゲームに対する外伝、ゼロ・エピソード的なポジションの作品(物語が未完結)だけに、未プレイの人には、厳しかったのかなぁ…(それなりに楽しめる要素もありましたが)。ゲームをやっている自分にとっては、この上なく
おもしろい・興味深い作品で、メディアミックス前提の作品として捉えたら、これほど綿密に練られた話は、他に類を見ないと思えます。
ゲームのVol.1,2にドンピシャで合わせたストーリー進行には、ゲームをやることで気付かされる仕掛けが随所に
溢れ、逆にアニメ版を見ることで、ゲームの方でも話が拡がりを見せる相乗効果も。小説版まで巻き込んでどこまでも商売上手とも言えますが、.hackワールドにハマれる人には、堪えられないものがあります。
正伝を知らずば判らない話でしたが、そうして完全に割り切った(突き放した)手法でないと、おもしろさは半減していたのかもしれない。アニメ版とゲーム版の住み分け、個と全のバランス感覚が絶妙にコントリールされて初めて、互いを高めあえたんじゃないかな。
アニメでは、リアルでの話を上げながら、その描写は志乃のPKの回だけという風に、徹底していたし、人間関係を重視した作風で、他の媒体では味わえない面白味を追求していたようだし。真下イズムも健在で、その空気・雰囲気が好きな人には、やっぱり手応えがありましたよ。
アリプロの音楽がちょっとくどくもありましたが、OPのSilly-Go-Roundは今季で一番好きな曲でもありました。
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